水素水とは何か?
水素水とは水素を多く含んだ水
水素水とは一定量以上の水素が溶け込んでいる水のことで、医学的には「水素豊富水」と呼ばれています。分子状水素医学シンポジウム(生体における分子状水素の作用に関連する研究の学術発展を図ることを目的とした研究会)においては、最低0.08 ppm以上の水素濃度の水と定義しています。
水素水は水を電気分解したり、または圧力をかけて水に水素を溶け込ませる方法などで作ることが出来ます。気体である水素が水に溶け込むの?と思うかもしれませんが、溶け込むことのできる水素はごく少量で、水の中に溶存できる水素量は1.57ppm(ppmは100万分の1)と科学的に実証されています。
なぜ水素水が注目されているのか?
水素水は水素を多く含むことで水素分子の作用により、他のものを酸化させない物質へと変化します。食事をしたり、運動することで体内で発生する活性酸素、その中でも身体をサビつかせ老化を進行させる「悪玉活性酸素(ヒドロキシラジカル)」を無害な水へと変えるという研究論文が、2007年5月にアメリカの科学雑誌「Nature Medicine」にて掲載されました。日本医科大学大学院 細胞生物学の太田成男教授らにより発表された「活性酸素を水素ガスで効率的に除去できる」内容の論文がきっかけとなり、その後も世界中で数百を超える学術論文が発表されています。カラダの老化や生活習慣病の原因となる悪玉活性酸素と結合して無害な水に還元することから、健康や美容に有効な物質として注目を集めるようになり、水素水商品も数多く発売され始め、一部のスポーツ選手や有名女優なども愛用していたことで一般にも広く認知されるようになりました。
効果、効能
老化や病気の原因となる悪玉活性酸素(ヒドロキシラジカル)を無害な水へと変える作用があるということが注目されたことで、世界中で様々な研究が行われ、論文が発表されています。
生活習慣病や美容や肥満、疾患・症状に対する効果の研究では、パーキンソン病などの神経変性疾患や、メタボリックシンドローム、炎症性またはミトコンドリア性筋症、関節リウマチ、脂質代謝異常、慢性B型肝炎、静脈流改善、間質性膀胱炎などの論文が発表されている他、水素水関連企業と大学との共同研究による実験の実施、また水素水を農業へ活用して、収穫量と質を上げる取り組みなどが見られています。
しかしながら、人体による臨床試験のデータがまだ少なく、マウス等による研究結果によるものが大半を占めています。人体に対して効果、効能があるエビデンスとして確証されているものではありませんが、人体による臨床試験も少しづつ進められているようです。
・水素医学について
・水素水の調査・研究
医療としての水素ガス吸引
水素を体に最も取り入れることが出来るとされる「水素ガス吸入」については、2016年12月1日に厚生労働省の先進医療Bとして承認されており、心停止後症候群と言われる状態を対象に医療の現場で吸引療法が用いられています。現状では慶応大学病院にてこの「水素ガス吸入療法」による治療を実施しており、心筋梗塞によりつまった血管を広げる際に発生する大量の悪玉活性酸素を水素吸入を行うことで減らすというものです。この治療法はまだ先進医療Bという位置づけではありますが、慶応大学病院では実際の治療に使われ、効果がみられています。
・水素吸入医療法の特番
ニセ化学、嘘と言われる理由
効果・効能が分かりずらい
これまで行われている臨床試験の多くが疾患・疾病に対してであり、病気であれば検査結果が良くなったなどの効果が検証できるものの、若年層の健康な方が利用したとしてもその効果は分かりずらく、「本当に効くの?」と疑念がわいてしまうことも理由の一つとして挙げられます。効果があると言われて飲むことで、体調が良くなったりするプラシーボ効果ではないかという意見もあります。
エビデンスが不十分
現在では水素水による臨床試験が数多く行われており、その効果・効能もある程度検証されてきてはいますが、エビデンスという点ではまだ検証件数が足りない状況です。水素水は医薬品、トクホ、機能性表示食品としても認められていませんし、まだ研究段階なのです。その為効果・効能を謳って水素水商品を販売することは出来ません。
消費者庁や国民生活センターによる注意喚起
2015年頃から水素水関連商品が数多く発売されました。水素水は医薬品でもなければトクホ、機能性表示食品でないにもかかわらず、色んな病気に効果がある、痩せることが出来るなど、まだ臨床試験なども少なく、エビデンスがあると呼べる状態にないのに、効果、効能を謳った商品が数多く出回ったのです。また、商品によっては、実際に水素が溶存していない商品も水素水と謳って販売されているなど、詐欺まがいの商品も多数出回りました。その為、消費者庁や国民生活センターにより注意喚起が促されるという状況になりました。
水素水は研究段階
水素水はまだ研究段階です。エビデンスといえるデータが揃うまではまだまだ時間がかかるのかもしれません。ただ、この効果が本物だとすれば究極の抗酸化物質であり、夢の薬だと言えます。少しづつ検証が進んでいて、それなりの検証が得られていることを考えれば、試してみる価値はあるのではないでしょうか。